鈴木幸子/柳沢里美「図解 離婚のための準備と手続き」
離婚問題について網羅的に纏められている。
■その他、婚姻を継続し難い重大な事由があるとき
暴行・虐待:暴行行為が繰り返されることから、婚姻生活は破綻しており回復の余地がない場合は認められるが、背景にある精神的な病や暴行を引き起こす夫婦間の問題を考慮する必要あり
生活態度・金銭問題:定職に就かない、サラ金から多額の借金を繰り返す、ギャンブルに溺れ生活費を入れないなど、婚姻生活は破綻している場合は認められるが、背景にある原因について考慮する必要あり
性的問題:セックスレスや性の不一致により婚姻生活の継続が難しい場合認められるが、性の問題についてはきわめて個別的なので、ケースバイケース。
性格の不一致:生活観・価値観・人生観などの相違により、婚姻生活を円満を営むことが不可能な場合は認めれられる。夫婦ともに寛大な心で、婚姻生活を円満にする努力が必要と判断される場合は認められない。
宗教上の問題:相手の宗教活動にどうしても耐えられないなど、生活の崩壊を招いている場合は認められる。宗教や信仰それ自体がただちに離婚原因にはなり得ない。
親族問題:嫁姑問題や親族間の確執によって婚姻生活が破綻し、解決の見込みがない場合は認められるが、親族間に問題があるだけでは、ただちに婚姻生活の継続が難しいとは判断されない。
重大な病気や障害:重度の疾患に冒され回復の見込みがない場合や、献身的に介護を続けた配偶者にこれ以上の負担は強いられないと判断された場合は認められるが、重度の疾患に冒された配偶者に対し、一方の配偶者に協力や誠意が見られない場合は認められない。
■離婚原因をつくった配偶者からの離婚請求は認められる?
離婚生活を破綻させる原因をつくった配偶者(有責配偶者)から 婚したいという請求は認められることなのでしょうか。
自分で離婚原因をつくっておきながら、さらに身勝手な要求をしているわけですが、事実上夫婦関係は破綻しており、愛情もないのに形だけ夫婦であり続けても本質的な解決を生みません。
そこで、裁判所は、有責行為の実態と婚姻関係破綻との因果関係、その後の夫婦関係の実態、別居の有無やその長短などの諸事情を具体的に考慮し、有責配偶者からの離婚請求であっても場合によっては認めています。
有責配偶者からの離婚請求が認められるのは、
①別居期間が長期間におよぶ
②夫婦間に未成熟の子がいない(ただし、未成熟の子がいても、離婚によりとくに不利益を被るおそれがない場合にはこの限りでない)
③離婚により相手方配偶者が、精神的・社会的に過酷な状況におかれるよ うな事情がない
④有責配偶者から相手方配偶者に対し、相当額の財産分与や慰謝料支払いの申し入れをしている
という場合です。これらの要件を満たさなければ、離婚を認める判決が 認められることはありません。
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