吉田重信「プロが本音で書いた男のための離婚の本」
ここ最近、離婚の際に親が子と一緒になって大騒ぎをするようなケースがやたらと目立ちます。普通、親等は問題があった場合、自分の子に対して「ちゃんとやるようにと」叱責するものですよね。ところが、どうも近頃はそれができない方が多いようなのです。
ちなみに、相手方両親が協議に加わった場合、不平等な協議を強引に纏めようとしたり、身勝手な内容の念書を書かせたりするような傾向が多くみられるため、そういった面については特に注意が必要です。
筆者の事務所でよく証拠云々の話になるのが、相手(妻)の暴言や暴力に関するものです。
最近のケースでは皆、ICレコーダーに録音をしていたり、デジカメで被害を撮影していたりする場合も多いのですが、仮にこのように記録に残しておいたとしても、それらが離婚問題で決定的な証拠として使えるとは限りません。
法律の話になりますが、実は法律上でも、相手の暴言や暴力は離婚が認められる直接の条件としては挙げられていないのです。離婚では、最終的には婚姻が破綻していると言えるかどうかが最重要視されます。(破綻主義)
また、メールでのやりとりを証拠として持ってくる方もいますが、これについても冷静に客観的な立場から文面だけを読んでみると、その時の事情がどんなものもであったかまでは推察できず、そういったやりとりがあったという単なる状況証拠のようなものにしかなっていないような場合が多いです。
他人に対して離婚等の込み入った相談事をする際、聞くべきことは法律等の専門的な知識のみと考えている方もいるようですが、これについては一概にそうとも言い切れません。
裁判上でのやりとりなどについては専門的な法律の知識が必要になってくるでしょうが、協議離婚における法律の規定は、基本的には指針(目安)としての色彩が強いものとなってきますから、法律でどうなっているかよりも、どのようにしたら互いに納得できるのかといった視点の方が重要となります。
先ほどのBさんの事例などはまさにその典型で、このようなケースの場合は法的にどうたら、というよりも、それを前提とした上でいかに話を円滑に進めていくかといった形でアプローチをしていくのが適切です。そしてこれについては、単純な法律知識よりも、利害関係のある対人間で角を立てずに話を進めていけるような一般知識や経験の方が有用となるでしょう。
Bさんのようなケースで「法律でこうなっているからこうなんだ!」と感情的に騒いでいる相手方に対してむやみやたらと法律を持ち出すと、かえって火に油を注ぐことにもなりかねません。
近年では、ネットの発達のおかげで法律を初めとする離婚関係の知識へアクセスする敷居はかなり下がったと思います。そしてそれに付随する形で、法的な手続きが必要になった場合には自分で調べて自分で処理しよう(いわゆるD・I・Y )とする方々も増えてきたように感じますが、自分が遭遇した問題に対して一個人がそれに合わせて専門知識や経験を仕入れて対処していくにしても、そこには限界があるでしょう。
素人の方が自分でネット等を使って専門知識を調べるとなるとどうしても、自分が欲しがっている情報に偏りがちになりますから、結局、現在で表面化している問題に関する知識のみを掻い摘んで得て対処していくことになります。
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